2022.06.10
腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいる「腱」と、腱を包む「腱鞘」と呼ばれる組織に摩擦が生じることによって炎症が生じる病気のことです。
はじめは手首や指の違和感を感じますが、この段階で腱鞘炎を気にする人はほとんどいません。しかし、この段階で対処をしておくと、後々症状の悪化や再発を予防することができます。
症状が進行してくると、「押すと痛い」という痛みを感じる箇所がはっきりとし、痛み・違和感・不快感などの症状が継続的に続き、日常生活に支障をきたしてきます。この段階で「腱鞘炎」を疑いだすことが多いです。
さらに症状が進行すると、何もしていなくても痛みがあるため、今まで行えていた日常生活動作が困難になってきます。当然、育児にも支障をきたすことが出てきてしまいます。
軽い症状の場合は数日で解消する場合もありますが、症状が重くなると数ヶ月痛みがひかないこともあり、症状の改善には個人差があります。産後のホルモンバランスが落ち着き、ママが育児に慣れてきて、手首への負担が軽減することが回復のポイントです。
参考:Medical Note
特に首が座っていない低月例の赤ちゃんの抱っこは、手のひらを広げて赤ちゃんの頭を支える必要があるため、手首や指に強い負担がかかります。そのため 産後1か月を過ぎたころから負担がかかり続けた手首や指などに症状が出現する事が原因となります。
産後は女性ホルモンの分泌が大きく変化します。女性ホルモンの一種であるエストロゲンには炎症による腫れなどを改善する作用があり、腱鞘炎の発症を抑制していると考えられています。しかし、産後はエストロゲンの分泌が減少してしまいます。
そのため、エストロゲンの分泌が減少する産後は、腱鞘炎を発症するリスクが高い時期だといえます。さらに 緩んだ子宮や開いた骨盤を元に戻そうと、黄体ホルモンがわざと腱鞘を収縮させるのですが、これが全身に作用し、腱鞘炎になりやすくなります。
関節に違和感がある場合や痛みを感じた場合は、早めに整形外科を受診してみることをおすすめします。
腱鞘炎は、腱と腱鞘が擦れ合うことでどんどん悪化していくものなので、重症化する前に治療することが大切です。
また、腱鞘炎と同様の症状がみられる疾患に変形性関節症や手の伸筋腱脱臼などがあるため、痛みが強い、なかなか治らない場合はお医者様に相談してみましょう。
腱鞘炎の治療としては、まず保存的治療を行い、それでも症状が改善しない場合や悪化してしまう場合、痛みが強すぎる場合に注射や手術が選択されます。
育児をしているママには手首や指の安静は難しいですよね。抱っこの仕方を工夫したり、サポーターやテーピングなどでできるだけ負担をかけないようにするのがおすすめです。ズキズキした痛みや手首や指に熱感がある場合は氷などで10分ほど冷やしましょう。
硬く張っている腕の筋肉をほぐしたり、伸ばしたりすることで炎症を起こしている腱の負担が減り、症状の緩和ができます。ただし、痛みの強い場合は逆に炎症を悪化させる可能性もありますので、注意が必要です。
炎症が生じている腱鞘の中に直接、ステロイド剤と局所麻酔薬を混ぜた注射を行います。個人差はありますが、一度の注射で3~6ヶ月程度は痛みを抑えることが可能と言われています。
保存的治療や注射を行ってもなかなか症状が改善しない場合や、たびたび再発を繰り返すような場合に手術が検討されます。痛みの元となっている腱鞘を切開し、その一部を切り離すことで、症状を改善させます。手術まで行うことは比較的まれです。
参照:間宮整形外科
授乳中に薬を使っていいかと不安になるママもいるかと思いますが、腱鞘炎で一般的に処方される「インドメタシン」や「ケトプロフェン」、「ジクロフェナクナトリウム」、痛み止めの「ロキソプロフェンナトリウム」などは、授乳中のママが使用しても、赤ちゃんに影響が出るとは考えにくいとされています 。
湿布を使用する際は整形外科などで外用鎮痛消炎薬を処方してもらうか、薬局の店頭でお買い求めいただけます。外用鎮痛消炎薬にはクリーム剤やローション剤、ゲル剤といった塗り薬のほか、湿布剤やテープ剤といった貼り薬もあります。
薬の影響を必要以上に心配し、薬の使用を控えて痛みをこらえていると、赤ちゃんを抱っこすることがさらにお辛くなってしまうかもしれません。必要に応じて薬を活用し、症状を改善していくことをお勧めいたします。
参照:第一三共ヘルスケア
まずは普段の生活習慣から意識をしていきましょう。
ちょっとしたことでも工夫をすることで、手首に負担をかけないような生活を送ることができます。
母指のストレッチ
①親指を握ります
②親指を握ったまま肘を伸ばし手首を小指側に倒して10秒間伸ばします
※動かして痛みがある場合は中止しましょう。
この場合は、ストレッチせず母指で自分の腕をもみほぐすマッサージの方が効果的です
手首のストレッチ
①掌面の指先を反対側の手で掴みます
②手首を返します
③肘をゆっくり伸ばします
(この時内側の筋肉の伸びる感じが得られます)
天使のたまごでは、鍼で腕周りや肩周りの硬くなっている筋肉にアプローチを行い、指圧マッサージやアロママッサージで全身の血行を良くすることで腱鞘炎の症状の緩和や改善をすることができます。
他にも、ご妊娠中から産後まで様々なトラブルにも鍼灸治療やマッサージで皆さまのマタニティライフをサポートさせていただきます。ご興味ある方は、ぜひ一度天使のたまごにご来院くださいませ。
産後によく起こりやすい腱鞘炎ですが、日々の生活での過ごし方やこまめなストレッチで症状の改善や予防もできます。産後は赤ちゃんのケアはもちろんですが毎日育児を頑張っているママ自身のお身体もしっかりいたわってあげましょう!